作品

潔癖症とカウンセラーの一枚の手袋を隔てた恋。『テンカウント』を読もう

不潔恐怖症(潔癖症)と臨床心理士(カウンセラー)の、リアルで官能的な恋の様子を描いたボーイズラブ作品『テンカウント』。「全国書店員が選んだおすすめBLコミック」で2年連続1位を獲得するなど、多くの人の心を掴んだこの作品の萌えポイントをご紹介します。

『テンカウント』とは?ストーリーや作者

『テンカウント』は、宝井理人さんのBLコミックです。2013年から2017年に『ディアプラス』にて連載され、コミックスは全6巻発売されています。

潔癖症である城谷忠臣は、ひょんなことから出会ったカウンセラーの黒瀬陸によって、個人的なカウンセリングを受けることになる。黒瀬が提案したのは「曝露反応妨害法」という治療手段で、抵抗がある10項目を順にクリアしていくことで完治を狙うものだった。

しかし、互いに協力しながら1つ1つ項目をクリアしていくことで、お互いの心情や関係にも変化が生まれ始める。10項目をクリアするまでに、二人の関係はどう変化していくのか?

作者の宝井理人さんは、ボーイズラブだけでなく、ファンタジー作品や小説カバーイラストも多く手掛け、さまざまなジャンルで活躍中。2019年にアニメ化もされたラグビー漫画「トライナイツ」のキャラクター原案も担当されているなど、人気の作家さんです。

『テンカウント』のアニメ

惜しまれながら完結した『テンカウント』ですが、2020年にアニメ化予定で企画が進行中で、まだまだその世界観を楽しむことができます。ティザームービーが公開されていますので、最新の情報含め、ぜひアニメ公式サイトをチェックしてみてください!

https://10count-anime.com/

『テンカウント』はゲームアプリもある!?

『テンカウント』は「テンカウント for App react」というアプリゲーム化もされています。内容は簡単なパズルゲームで、クリアすることでストーリーが解放されていくのですが、なんとこのストーリーは選択式。

つまり「もしも城谷が/黒瀬がこうしていたら……?」というifストーリーを楽しめてしまう贅沢な作りになっています。惜しくも2020年6月30日で更新終了となりましたが、公式Twitterにはこれまでのイベントカードなども多数アップされています。原作にはなかったさまざまな二人の姿が見られるのでこちらも注目です。

私が『テンカウント』を読んだ感想5つ

私が『テンカウント』を読んでおもしろかったポイントはこちら!

    ①不潔恐怖症からの回復。治療行為やそれに伴う心情変化のリアルな描写
    ②なぜ不潔恐怖症になってしまったのか?城谷が愛おしくなること間違いなし
    ③臨床心理士(カウンセラー)黒瀬は落ち着いていて物静かだけれど、かわいいところも
    ④いきなりの過激な展開にドキドキ……。エッチが毎回すごい
    ⑤人気・実力ともにあるキャストで、原作に忠実にドラマCD化

①不潔恐怖症からの回復。治療行為やそれに伴う心情変化のリアルな描写

『テンカウント』は、不潔恐怖症(潔癖症)の城谷を、臨床心理士(カウンセラー)の黒瀬が治療していくことが軸となっている作品です。その描写は、お仕事BLとしても楽しめるほどリアルで細かいものになっています。

黒瀬が城谷に提案するのは「曝露反応妨害法」というもので、実際に不安障害の治療などに利用される手法です。患者を「怖れ」(城谷だと「不潔なもの」)に直面させて、逃避行動を取らせない(妨害する)ことで治療を進めていきます。

「ドアノブに触る」や「つり革を持つ」など、日常生活を普通に過ごすことすら難しいレベルで触れられないものがあった城谷。話の後半で、再び城谷がリストを作ることになるのですが、最初に書かれたリストと比べることで、きっと城谷の成長を感じられるはずです。

②なぜ不潔恐怖症になってしまったのか?城谷が愛おしくなること間違いなし

城谷は社長秘書で仕事も非常に良くでき、雰囲気も落ち着いていて人当たりも柔らかなど、とても有能で優れた人物です。しかし、あることをきっかけに「潔癖症」になってしまったことが、彼の人生に影を落としてきました。

「この世にあるものは全て汚い」と感じ、誰かとすれ違うことにすら怯えて思わず後ずさりしてしまうなど、重度の潔癖症である城谷。もはや治療を諦めていた彼が、黒瀬に出会ってようやく一歩前に進むことを決意します。

恋をして誰かに触れるためには、潔癖症を克服しなければなりません。治療と、そして恋が進むことで、徐々に黒瀬に触れることに抵抗がなくなっていく城谷。読み終わる頃には、黒瀬と同じように城谷のことが愛おしくなっていると思います。

③臨床心理士(カウンセラー)黒瀬は落ち着いていて物静かだけれど、かわいいところも

城谷が秘書としてついている社長が交通事故にあった際、その場に居合わせた黒瀬は救助を手伝い、病院まで同行しました。そこで黒瀬は、城谷が不潔恐怖症であることを見抜きます。そして後日、意を決して城谷が訪れた心療内科には、カウンセラーの黒瀬の姿が。

淡々とした黒瀬の姿に、城谷は尊敬の念を抱き始めますが、実は黒瀬のほうが5歳年下。落ち着いて優しいのかと思いきや、ちょっぴりSな発言もしてくるなど、年下でクールな大型犬タイプが好きな人には間違いなく刺さるキャラクター造詣です。

S……というより、いじわるなこともしながら、城谷の治療に根気よく付き合う黒瀬。カウンセラーとして治療のために城谷に触れた彼が、その領分を超えて触れ始めてしまう……。最終巻で二人がどういう道を選んだのか、ぜひ確かめてみてください。

④いきなりの過激な展開にドキドキ……。エッチが毎回すごい

1巻にエッチなシーンはありませんが、2巻以降は毎回のエッチシーンにドキドキの連続です。治療行為の延長として、城谷に触れ始める黒瀬。他人に触れられることは怖くて気持ち悪いことのはずなのに、それを超える快楽でうやむやになってしまい、城谷は戸惑います。

それが黒瀬への好意だと気付いた城谷はますます混乱していきますが、黒瀬はそんな城谷を翻弄するように攻め続けます。怖い、イヤだと思っているはずなのに、体がまったく逆の反応をしていることを指摘する黒瀬の静かな言葉責めはドキドキです。

巻を追うごとに濃密になっていくエッチなシーンも、そして心が通じたあとの二人の表情の晴れやかさもぜひ読んでいただきたいポイントです。

⑤人気・実力ともにあるキャストで、原作に忠実にドラマCD化

『テンカウント』はドラマCD化もされており、全部で6枚発売されています。つまり、全6巻の原作を、余すところなく音声化している非常に贅沢な作品です。城谷役を立花慎之介さん、黒瀬役を前野智昭さんが担当されています。

原作1巻=CD1枚で音声化しているため、内容は原作に非常に忠実で、エピソードもほとんど省かれていません。そのため、原作の細かな心理描写なども鮮やかに再現されており、潔癖症と黒瀬への思いに戸惑う城谷のモノローグも情感たっぷりに語られています。

エッチシーンも聞き所のひとつですが、最終巻のあるシーンの二人のセリフが、この作品の終着地と言えると思います。その場の温度さえ感じられるようなお二人の名演技をぜひ楽しんでみてください。

『テンカウント』が読める電子書籍サービスは?

Kindle
イーブックジャパン
ブックライブ
紀伊國屋書店
リーダーストア

まとめ:潔癖症とカウンセラーの官能的な恋に酔いしれる『テンカウント』

『テンカウント』は、不潔恐怖症(潔癖症)の城谷と、臨床心理士(カウンセラー)の黒瀬が治療を通じて心を通わせていくラブストーリーです。治療の描写はとてもリアルで、実際に不安障害の治療にも使われている方法を二人で進めていきます。

黒瀬が城谷に触れ始めてからのエッチシーンはとても官能的で、2巻以降はどんどんそれが加速していきます。宝井理人さんのすっきりとした美しい絵で、キャラクターたちの官能的な表情を楽しみたい方にもぴったりな作品だと思います。

ドラマCD化もされており、巻数は原作と同じ全6巻で、とても忠実に原作を再現した作りです。ドラマCDも原作もあわせて、リアルで官能的な『テンカウント』の世界にぜひ飛び込んでみてください。