作品

クラス内の階級がゲームで決まる!スクールカーストBL『カーストヘヴン』

クラスでの自分の身分は、学校内に撒かれたトランプを探す「カーストゲーム」で決まる。
もしこのゲームで最上位だった「キング」が、次のカーストゲームで最下位の「ターゲット」に陥落してしまったら……?

少年たちのさまざまな欲望渦巻くスクールカーストBL『カーストヘヴン』をご紹介します。

『カーストヘヴン』とは?ストーリーや作者

『カーストヘヴン』は緒川千世さんによるBLコミックです。2014年に『マガジンビーボーイ』にて連載を開始し、2016年にはドラマCD化もしました。

学校内にばらまかれたトランプを探し、手にした札によってクラス内での自分の階級が決まる「カーストゲーム」。カースト最上位である「キング」の梓は、次のカーストゲームで取り巻きの刈野に裏切られ、最下位である「ターゲット」に転落してしまう。

「ターゲット」はいじめの標的であり、それまでキングだった梓はクラスの面々から執拗ないじめに遭ってしまう。更に、「キング」となった刈野は梓を追い詰め「俺に犯されるか、皆にマワされるか選べ」と迫り……。

作者の緒川千世さんはBL以外にも「高木しげよし」名義で少女漫画も数多く発表されています。思わずページをめくる手が早くなってしまうような、重厚でおもしろいストーリーが魅力的な作家さんです。

『カーストヘヴン』にはゲームがある!?

『カーストヘヴン』はアプリゲーム化もしており、「Ameba」「あなカレ」で配信されています。キャストはドラマCDのキャストが続投。カップリングごとに「ノーマルエンド」「ハッピーエンド」「バッドエンド」の3種類のエンディングを用意しています。

ゲームのシナリオはすべて原作者の緒川千世さんの監修なので、原作が好きな方も安心して楽しむことができます。原作にはないオリジナルストーリーや特別シナリオを配信しているほか、ゲームを進めると描き下ろしスチルが入手可能など嬉しい特典も。

原作では起こらなかった展開を楽しめるアプリゲーム『カーストヘヴン』もぜひプレイしてみてください。

『カーストヘヴン』の魅力

『カーストヘヴン』の魅力は、「カーストゲーム」という絶対的な身分制度によって巻き起こるさまざまな愛憎を軸にお話が展開されるところ。この身分制度をうまく使う者、陥れられる者など、それぞれのキャラクターのスタンスの違いも読んでいて面白いです。

「カーストゲーム」は、教卓の上に空のトランプカードのケースが置かれることがスタートの合図。そこから、生徒たちは学校中を駆け回り、見つけたトランプカードを1枚、教室に持ち帰ります。そのカードの序列が、そのままクラス内での自分の序列となるのです。

決められたカーストに逆らうことはできず、カースト下位が上位に逆らうことは許されません。それが覆るのは唯一つ、次の「カーストゲーム」のみ。そしてゲームに参加しなかったり違反をする者は、自動的にカースト最下位の「ターゲット」、いじめの標的になります。

この身分制度を織り込んだBLというのが、『カーストヘヴン』が面白く、また他の作品と一線を画す魅力を持っているポイントです。

私が『カーストヘヴン』を読んだ感想5つ

私が『カーストヘヴン』を読んでオススメしたいと思ったポイントを5つ紹介します!

    ①「カーストゲーム」制度によって巻き起こる愛憎がおもしろい
    ②将来を約束された男の暇つぶしと陥落した王者、刈野×梓
    ③好きな理由は「昔気に入っていた子ウサギに似てるから」な久世×あつむ
    ④”良い子”の仮面を剥ぎ取るのは一匹狼のエキセントリックな男。仙崎×巽
    ⑤カーストゲームの緊張感も、ドキドキする濡れ場も魅力的なドラマCD

①「カーストゲーム」制度によって巻き起こる愛憎がおもしろい

『カーストヘヴン』はクラス内の階級を決める「カーストゲーム」を軸としたお話です。この「カーストゲーム」があることによって、クラスメイト間にさまざまな愛憎がうまれているのがおもしろさのポイントの一つ。

梓はカーストゲームでキングとなり、クラス内で傍若無人に振る舞っていました。しかし、それによってクラス内に溜まっていたヘイトが、梓が最下位であるターゲットになった際に爆発し、執拗ないじめに遭うことになります。

一方、引っ込み思案でいつもおどおどしてしまい、カーストゲームがなくても「いじめられっこ」の立場であったあつむ。彼にとっては、カーストゲームで最下位以外のカードをひくことができればいじめられっこの立場から抜け出せる……いわば「救済」のゲームです。

このように「カーストゲーム」がそれぞれのキャラクターに与える影響がさまざまである点が、『カーストヘヴン』のおもしろいポイントの一つです。

②将来を約束された男の暇つぶしと陥落した王者、刈野×梓

キングである梓の取り巻き(ワナビー)だった刈野。次のカーストゲームの際、飼い犬のように付き従っていた刈野は「梓にふさわしいカードを持ってくる」と宣言しますが、彼が持ってきたカードは最下位のジョーカー。刈野は梓を裏切り、自分がキングに就きます。

プライドの高い梓の表情が歪むさまがずっと見たかった刈野と、何をされても決して屈せずに刈野をにらみつける梓。刈野の父親は大臣で、将来が約束されており高校時代はお遊びだと考えていました。その中で、思い通りにならない梓は”おもしろい”存在。

梓に無体なことを強いる刈野ですが、どうしてそこまで梓が気になってしまうのか。そして、無体なことをされながらも折れない梓が、どうしてそういう性格に育つに至ったのか。無理矢理なエロも多いですが、次第に快感に負けてしまう梓の描写も魅力的です。

③好きな理由は「昔気に入っていた子ウサギに似てるから」な久世×あつむ

あつむは引っ込み思案でいつもびくびくしており、カーストゲームがなくても自分はスクールカースト最下位だと考えていました。カーストゲームでも梓にカードを譲ってしまい自分は最下位のターゲットとなり、いじめを受ける日々。

そんな中で、「ジャック」――キングの親友の序列である久世は、怪我をしていたあつむに優しく話しかけます。その理由は、彼が以前世話をしていた、兄弟ウサギから仲間はずれにされていた小さな子ウサギに似ているから。

久世の「仲良くなりたい」という言葉を信じられないまま、次のカーストゲームを迎えます。あつむは「プレップス」という中流階級のカードを見つけて胸を撫で下ろしますが、そこに近づいてきた久世が「俺のと交換してよ」と言ってきて……。

シリアスなこの作品の中で、あつむを甘やかす久世の姿は安らぎを感じます。ですが、それだけではないのがこの作品のおもしろいところ。久世がどんな本性を見せるのか、ぜひ読んで確かめてみてください!

④”良い子”の仮面を剥ぎ取るのは一匹狼のエキセントリックな男。仙崎×巽

巽は刈野の腹違いの兄で、出自のこともあり優等生として生きてきました。序列も中流階級の「プレップス」で、波風を立たせず淡々過ごしていましたが、編入生の仙崎と出会ったことが、巽が大きく変わっていくきっかけになります。

仙崎はサングラスにピアス、入れ墨など見た目も目立つ存在ですが、行動もエキセントリックで、暴力に容赦がありません。自分とは正反対な姿が巽の目には鮮烈に映って仙崎に惹かれ、次のカーストゲームでは仙崎と同じ「バッドボーイ」(不良)の序列を選びます。

家や先生たちの前では引き続き優等生を演じるけれど、それ以外はバッドボーイとして不良の振る舞いをする巽。それは巽にとって、これまで敷かれてきたレールをただ歩いてきただけの自分が、縛られていたものから解き放たれる時間でもあります。

暴力的に巽を抱く仙崎とそれを受け入れる巽の描写も、痛々しさもありますがお互いに求めるものがはまったからこそだと感じられます。涙を誘う、二人の結末のシーンも注目です。

⑤カーストゲームの緊張感も、ドキドキする濡れ場も魅力的なドラマCD

『カーストヘヴン』はドラマCD化もされており、原作の物語が音になることで更に魅力的に描かれています。梓は内田雄馬さん、刈野を小野友樹さんが担当されており、それぞれのキャラクターにぴったりなキャスティングです。

物語序盤の、梓の腰巾着だった刈野の大型犬のような真っ直ぐなセリフと、本性を表したドSな刈野の冷たいセリフの落差は秀逸です。また、梓が何をされても決して折れず、果敢に立ち向かっていく芯の強さがセリフの端々に表れているのも感じると思います。

子ウサギのようにかわいいあつむは村瀬歩さん、王子様のようだけれど内面は見えない久世は佐藤拓也さん。優等生からバッドボーイへ変わっていく巽は榎木淳弥さん、そしてドラマCD3巻から登場するエキセントリックな男・仙崎は古川慎さんと、錚々たる顔ぶれです。

セリフが音になることによって、よりその「憎悪」や「嫉妬」、「渇望」が鮮明になります。『カーストヘヴン』の空気感を更に味わいたい方にオススメできる作品です。

『カーストヘヴン』が読める電子書籍サービスは?

Kindle
イーブックジャパン
ブックライブ
紀伊國屋書店
リーダーストア

まとめ:ダークで痛々しく、重厚なストーリー。愛憎渦巻くスクールカーストBL『カーストヘヴン』がオススメ

『カーストヘヴン』は、クラス内の序列が「カーストゲーム」で決まる学校で巻き起こる、少年たちの愛憎を描いたスクールカーストBLです。

最上位から最下位へ転落させられた者、ゲームによっていじめられっこから脱出した者、本当の自分に気付く者。カーストゲームによって失ったもの、得たものがそれぞれ違うのが、『カーストヘヴン』のストーリーを奥深いものにしていると感じます。

作者の緒川千世さんは別名義で少女漫画も多数描かれており、その重厚なストーリーや世界観に定評があります。また、エロの多い作品ですが直接的な局部があまり描かれていないにも関わらず、表情や書き文字でアダルトな描写なのも特徴のひとつです。

ドラマCDもリリースされており、それぞれのキャラクターにぴったりのキャスティングがされているのも魅力的なポイント。原作、ゲーム、ドラマCDなど、さまざまな形でぜひ『カーストヘヴン』の世界を楽しんでみてください。