作品

オススメの『魔法使いのレストラン』心温まるフルコースを堪能しましょう

デザートを出さないレストランにやってきたのは、「魔法使いの弟子」と自称するパティシエ?!

亡くなった両親を継いでレストランのオーナーになった紫乃と、明るく飄々ととしたパティシエの神。

二人の出会いで、レストランは大騒動に!?

甘々なパティシエと健気なレストランオーナーの恋を描いた、田中ボールさんの『魔法使いのレストラン』を紹介します。

『魔法使いのレストラン』とは?ストーリーや作者

『魔法使いのレストラン』はバーズコミックスリンクスコレクションから2011年にコミックスが発売されたBLマンガ。

作者は田中ボールさんです。

舞台は、なぜかデザートを一切出さない店として有名な一軒の小さなフレンチレストランclair de lune(クレール・ド・リュンヌ)。

19歳の若さでレストランのオーナーを務める七月紫乃(ななつきしの)。

そしてシェフの鏡一(きょういち)とウェイターの竜臣(たつおみ)とともに、3人でレストランを切り盛りしています。

紫乃が若くしてレストランの経営をしているのは、もともとレストランを経営していた両親が亡くなったためです。

シェフだった母親は病気で、その後パティシエの父親が交通事故でたて続けに他界。

両親のレストランを潰したくない一心で、残された一人息子の紫乃みずからがオーナーになったのでした。

そんな彼のもとに、ある日いきなり紫乃の父の弟子と名乗るパティシエの花守神(はなもりじん)が訪ねてきます。

彼は、パティシエとして住み込みで働かせてほしいと言ってきました。

しかし、紫乃は神が食べてみてほしいと差し出したシュークリームを払い落としてしまいます。
実は、紫乃は父を亡くしたショックで、お菓子が食べられなくなっていたのです。

店にパティシエを雇わないのも、紫乃の拒否反応を起こしてしまうせい…。

紫乃は住むところのない神を、とりあえず店の2階の自分の部屋に泊めることに。

しかし、会ったばかりの神から甘くなつかしいにおいがして、両親を亡くしてから一人で押し殺してきた気持ちが溢れ出し、発作を起こしてしまいます。

そんな紫乃を『甘やかしたくなっちゃったなぁ』と、神はやさしく抱きしめて…。

『魔法使いのレストラン』の魅力

『魔法使いのレストラン』は、1冊に3組のカップルのエピソードがギュッと詰まっていて、それぞれのキャラクターの個性が強いところが魅力です。

表題の『魔法使いのレストラン』では、紫乃と神のエピソードがメインです。

そのストーリーと重なるように、同時に元恋人同士であるシェフの鏡一とウェイターの竜臣の関係も描かれます。

また、サイドストーリーの『甘くて可愛いケーキ屋さん』では、レストランの隣にあるケーキ屋の店長と常連さんの恋のエピソードもあります。

1冊で様々な視点から作品の世界観を味わえるので、隅々まで楽しめる作品です。

ストーリーでは、紫乃と神にまつわる過去のエピソードだけではなく、それぞれのキャラクターが抱える過去のエピソードのひとつひとつが重めです。

鏡一の紫乃を守りたいという覚悟、別れても鏡一をずっと想い続けている竜臣の想いなど不器用な気持ちが終始ぶつかっています。

それでも不思議と散らかった印象にならずに読み進められるのは、セリフや表情からそれぞれのキャラクターの個性をはっきりと際立たせているため。

例えば、紫乃の表情だけでも実に豊かです。

・不信感を持ちつつも神のことが気になる顔。
・優しくする神に『甘えたくない』と泣きじゃくる顔
・神にキスをされて意識してしまう顔

など、神に出会ってからまるでジェットコースターのように変化する感情が、丁寧なモノローグと表情で描かれています。

細かい描写のおかげで読んでいる方も自然に感情移入できますよ。

ストーリー性が重視されているため、全体的にエロ少なめで、キャラクターの感情を追いかけながら読める作品になっています。

私が『魔法使いのレストラン』を読んだ感想5つ

私が『魔法使いのレストラン』を読んでオススメしたいと思ったポイントは以下の5つです!

    ①リアルでシリアスなストーリー展開
    ➁様々なカップルが見られる
    ③デレのシーンも糖度が高い
    ④エロも楽しめる
    ⑤最後は心温まる結末

もっと沢山ご紹介したいのですが、特にいいと思った箇所なので1つ1つ解説します!

①リアルでシリアスなストーリー展開

この作品では表題の『魔法使いのレストラン』では、両親を亡くした紫乃。
そして、紫乃を見守らなくてはと、自分の恋を犠牲にして尽くす鏡一の苦悩が描かれています。

「自分は幸せになってはいけない」と自分に言い聞かせながら生きる2人の不器用さに、読んでいる私たちも胸は苦しくなります。

そんな2人を思ってなんとかしようとする神と竜臣の優しさに、心が揺れている描写も見どころです。

➁コメディよりなサイドストーリー

『魔法使いのレストラン』では、以下の3組のカップルのストーリーが展開されています。

・紫乃×神
・竜臣×鏡一
・葉平×あさひ

それぞれ属性が全然違うので様々なカップリングを楽しめますよ。

サイドストーリーの『甘くて可愛いケーキ屋さん』では、葉平×あさひカップル。

いい大人達のヘタレ具合に胸がくすぐったなる物語です。

癒され保育士・葉平と意地っ張りなパティシエ・あさひの組み合わせは、見ているこっちがムズムズします。

ストーリーにエロ展開はほとんどなく、ちょっとコメディよりです。

是非、サブキャラの梅くんと一緒にツッコミをしながら楽しんで頂きたいです。

③デレのシーンは糖度が高い

メインの神×紫乃では、身長(体格)差やワンコ攻め、健気受けの要素が多く、紫乃の愛くるしさが存分に味わえます。

神のチャラい見た目とその包容力のギャップが凄まじい。
絆されていく紫乃の気持ちも分かってしまう甘々カップルです。

徐々に神に対して表情がやわらかくなる紫乃を応援したくなること間違えなし!!

④紫乃のエロエロな姿も楽しめる

この作品で唯一エロ展開がある、神×紫乃カップル。

普段からスキンシップの多い神ですが、なかなか最後まで手を出せずにソワソワしている姿はまさしくワンコです。

なにより、いつもはオーナーとしてしっかりしている紫乃が神の手でドロドロに甘やかされている姿はとってもおいし…可愛い!!

紫乃は体も小柄なのでカワイイ系の受けがお好きな方には是非ともオススメなカップリングです!!

⑤最後は心温まる結末

この本のラスト、実はメインで描かれているのは鏡一なのです。

鏡一は神の登場以降、紫乃が変わろうとしているのに、自分はついていけないと感じています。

そんなある日、紫乃の提案でお墓参りに行くことに…。

晴れやかな顔の紫乃、少し涙ぐむ神…そして普段通りの竜臣。

ラストのシーンで立ち止まった鏡一に、昔と変わらないまま愛情を向ける竜臣がイケメンです。

小さなレストランのなかで、大きく変わったこと、変わらずにあり続けるもの、そんな幸せを嚙みしめるラストになっています。
この作品を読み終えた時、満足感と幸福でお腹いっぱいになれること間違えなしですよ!

『魔法使いのレストラン』が読める電子書籍サービスは?

Kindle
イーブックジャパン
ブックライブ
紀伊國屋書店
リーダーストア

まとめ:重い過去も意地っ張りも、パティシエの魔法で甘く溶かされていく…『魔法使いのレストラン』がおすすめ!

田中ボールさんの『魔法使いのレストラン』は、一軒のレストランに一人のパティシエが訪ねてきたことから展開する、恋と絆を描いた作品です。

両親を亡くし、それ以降トラウマで甘いものが一切食べられなくなった紫乃が、神という甘い甘い魔法使いによって心も体も甘く溶かされていく甘々な展開に、ドキドキが止まりません!

田中ボールさんの作品は、重めの過去エピソードが多いです。

しかし、どれも鬱々とした展開にならずに幸せな結末が待っているので、読後になんとも幸せな気持ちがあふれてきますよ。

まさに、フレンチのフルコースのように酸いも甘いも詰まった作品です!

あなたもとびっきり甘いお菓子を用意して、『魔法使いのレストラン』を堪能してみてくださいね。