作品

4人の男子による純粋で不器用な物語『愛が欲しい愛が欲しい』が刺さる!

容姿端麗なツンデレと、ワンコな幼馴染が、素直になれずに不器用に想い合う、『愛が欲しい愛が欲しい』を紹介します。

暗い過去やマイノリティーの悩みといった重いテーマを描きつつも、心があたたまるような
胸キュン展開が待っている、青春ストーリーです。

『愛が欲しい愛が欲しい』とは?ストーリーや作者

『愛が欲しい愛が欲しい』は、田中ボールさんのBLコミックです。2010年にボーイズDuoで連載され、2011年に単行本が発売されました。

男子校内で、美しい見た目と人を寄せ付けないクールさから、男子生徒に「絶対零度の姫君」と呼ばれる姫霧零(ひめぎりれい)。

男も惚れるほどのルックスの持ち主ですが、大のホモ嫌いとしても有名です。

しかし、裏では眼鏡のクールな先輩、真弓(まゆみ)と体だけの関係を持っています。

零は、他人に自分がゲイだと気づかれないよう、あえて極度な人嫌いを装って生活していたのです。

零がゲイをひた隠しにするのは、過去にトラウマがあるから。

両親にゲイがバレたときに理解されず、家族を裏切ってしまったと、零は自分を責めました。

さらに、別れた恋人にアウティングされ、学校内でも居場所を失うことに…。

それ以降、自分も相手も傷つくことに臆病になっていたのでした。

ある日、校内で零が真弓が一緒にいるところを、朝日奈蒼太(あさひなそうた)に目撃されてしまいます。

蒼太と零は幼馴染みで、蒼太が引越してから久しぶりの再会でした。

幼い頃から零のことが好きだった蒼太は、再会した零の変化に驚きます。

本当は愛されたいのに、ゲイだと知られて自分と相手が傷つくのが怖くて恋を避けてきた零。

蒼太も、過去に深く傷ついて心を閉ざした零と真弓の依存し合う関係に、深く入り込む勇気が出ません。

そんな頃、真弓はいつも昼休みに音楽室から聴こえるピアノの演奏者、辺見いすずに偶然出会います。

各々が悩み立ち止まる中で、ただひたすら素直ないすずの存在が他の3人を変えて…。

暗い過去や重いテーマを描きつつも、ラストでは晴れやかな気持ちになれる物語です。

『愛が欲しい愛が欲しい』の魅力

『愛が欲しい愛が欲しい』の魅力は、暗い過去に囚われ、真弓に依存していた零が、自分の気持ちに答えを出すまでの丁寧な心理描写です。

作中では、セクシャルマイノリティーである零のコンプレックスと葛藤が重く描かれています。

本当は誰よりも『愛が欲しい』のに、蒼太にゲイの生きづらさを背負わせたくないと、好意を受け入れられません。

蒼太も、こわれそうな零にどう接したらいいのか悩みます。

一方、真弓も家庭環境の悩みから孤独を抱えており、零と孤独を埋め合う関係をやめられません。

零と蒼太、真弓。
3人ともが恋に悩み、恋に臆病になっています。

BL作品の中でも、かなり重い内容を描いているため、最後まで鬱展開になりそうに思えますが、そこはさすが田中ボールさん。

最終的には、それぞれが自分なりに答えを出して、前に進みます。

登場人物に共感しながら、セリフに胸キュンしたり、ジーンとしたりできるところが素敵な作品です。

私が『愛が欲しい愛が欲しい』を読んだ感想5つ

私が『愛が欲しい愛が欲しい』を読んで好きになったポイントが以下の5つです!

    ①真弓と零の屈折した関係が切ない
    ②脱力男子×優等生のエロがおいしい
    ③重い空気の伝わる心情描写
    ④いすずは本作品の天使
    ⑤素直になればみんなかわいい

①真弓と零の屈折した関係が切ない

真弓と零の関係が始まったのは中学2年生の頃からでした。

当時ゲイであることが親にもバレて、学校でも孤立。
そんな孤独を過ごしていた零に真弓が声をかけたことがきっかけです。

真弓の家庭では、父親は家の外で女の人を作ってしまい帰ってこない。
母親はヒステリックになって暴れ続けていました。

ガラスの破片だらけの家で真弓もまた、孤独でした。

ひとりぼっちな2人だから、付き合う事もせずただひたすら互いを甘やかし、甘やかされる切ない関係です。

そんな切ないところが見どころです!!

②クールな優等生・零のエロがおいしい

この作品では、零受けのエロ描写があります!

真弓×零では、歪に求めあう2人が、蒼太×零では素直に惹かれ合う姿が描かれており、どちらの零もとてもエロくてかわいいです。

真弓も蒼太も身長が大きいので、零との体格差があるのも萌ポイントの1つです。

また見比べてみると、前半と後半で零の顔の明るさや表情の柔らかさが違い、作品のストーリーを合わせて楽しむことができます。

素直ではない零ですが、こういった細部まで描かれていると見守りがいがあっていいですね。

③重い空気の伝わる心情描写

この作品の特徴として、心情描写がとても丁寧です。

例えば、零の辛かった過去や、真弓がいすずに恋をするまでの感情。

どれもセリフとしてではなく、回想としてそれぞれのキャラクターの脳内でグルグルしています。

セリフとして素直に口にはできない所が、『愛が欲しい愛が欲しい』のイメージにピッタリだと感じました。

④いすずは本作品の天使

『愛が欲しい愛が欲しい』は全体的にダークなストーリーです。

誰もが生きることが難しい感じる中で、キーマンとなるのが、いすずの存在です。

いすずのちょっと不思議な雰囲気は、いい意味で先が読めません。

それぞれが悩み立ちすくんでしまう中で、いすずだけは自分に素直なまま真弓に「好きです」と伝えます。

名前・時間・言葉…

なにも関係なく「ただ好きだから」と真弓に告白するいすずの姿に、他のキャラクターも私自身も衝撃を受けました。

他の3人の過去のトラウマも、意気地なしも、全部吹き飛ばすようないすずの性格はまるで天使です!

⑤素直になればみんなかわいい

いすずの告白をきっかけに、みんな自分の気持ちに正直になる。
これがこの作品のラストです!

中盤からは、みんな思いつめた表情をしていたのですが、ラストにしてようやく青春を感じられてキュンキュンできます。

個人的には、いつもやる気のない真弓がいすず相手にタジタジしている(そして平然を装っている)姿が最高に萌えます。

そしてなにより、最後の零の笑顔はまさしく尊いです…!!

これまでたくさん泣いた零には、幸せになってもらいたいと感じた1ページでした。

『愛が欲しい愛が欲しい』が読める電子書籍サービスは?

Kindle
イーブックジャパン
ブックライブ
紀伊國屋書店
リーダーストア

まとめ:素直に『好き』ということの大切さと難しさに心打たれる、青春ストーリー

傷つきたくない、傷つけたくない、でも求めずにはいられない。

『愛が欲しい愛が欲しい』は、タイトルの通り、愛が欲しくて欲しくてたまらない4人の不器用でピュアな青春ストーリーです。

心に残るセリフが多いのも、田中ボールさんの作品の特徴ですが、とくにこの作品では『素直に言葉にすること』の大切さが随所に描かれています。

たった一言の『好き』に、愛おしい、守りたい、奪いたい、謝りたい、大切にしたい…様々な感情が入り混じっています。

だからこそ、余計にキュンとして4人の幸せを願わずにはいられません。

青春の真ん中で不器用に恋をする、彼らのストーリーをぜひ読んでみてください。