『Hybrid Child』とは?ストーリーや作者
『Hybrid Child』は中村春菊さんのBLコミックです。2003年から「BE×BOY GOLD」で連載されました。
ハイブリッド・チャイルドとは「機械でも人形でもなく、持ち主の愛情を反映して成長する人の形」のこと。それは鏡にも形容され、成長の仕方も持ち主によって様々です。
『Hybrid Child』は、「ハイブリッド・チャイルド」とその主人たちの、それぞれの愛の形が描かれたお話です。時代は幕藩体制が敷かれていた頃で、ハイブリッド・チャイルドはいわゆる「からくり」の一種。
その「からくり」と人間が確かに愛し合ってゆく様子が、中村春菊さんのポップでやさしいタッチで描かれています。
『Hybrid Child』のアニメと魅力
『Hybrid Child』は2014年にOVA化されました。原作は1冊のマンガですが、OVAは全4巻で、原作のストーリーが余すところなくアニメ化されています。
原作をリスペクトした作りになっていることが随所から感じられ、中村春菊さんの絵を忠実に再現した作画もその一つ。また、各話のサブタイトルがマンガのモノローグから取られているのも印象的です。
作品の中に流れる穏やかな雰囲気が、美しい音楽で彩られているのも魅力です。主題歌「syncretism」の透き通るような歌声が、このお話のせつなさを優しく包み込みます。優しい気持ちになりたいときにオススメの作品です。
私が『Hybrid Child』を読んだ感想5つ
私が『Hybrid Child』を読んで感じた好きなポイントを、5つに凝縮してお伝えします!
①ヒトと「ハイブリッド・チャイルド」のすれ違いによる面白さ
「ハイブリッド・チャイルド」はヒトではない存在なので、どうしても人間とは違う部分が出てきてしまいます。生きる年月の長さも違えば、大切なものも違う。その違いによって起こるすれ違いが、お話に厚みを持たせています。
本来、寿命がなくヒトより長く生きるはずのハイブリッド・チャイルドが、自分より先に壊れてしまうことへの葛藤が描かれる小太郎&葉月編。そして、自分がハイブリッド・チャイルドとしてきちんと成長できないことに悩む壱&ゆず編。
ヒトとハイブリッド・チャイルドの違いによって生まれるせつなさに心が震えるはずです。
②中村春菊さんの本領が発揮されている時代物BL
中村春菊さんは『純情ロマンチカ』や『世界一初恋 ~小野寺律の場合~』などに代表されるように、現代ドタバラコメディものの名手です。しかし、それ以前は時代物をよく描かれていました。
『Hybrid Child』も、時代設定は幕藩制の頃のお話。この時代特有の、家柄や価値観、戦争などをうまく絡めたストーリーになっています。
1話目の主人公である小太郎は名門家の御曹司で、当主としての振る舞いが求められます。また、2話目の壱は戦争で大切なものを失った人物。そして、3話目でクローズアップされる黒田も、時代に翻弄された男です。
この時代にハイブリッド・チャイルドがいることは一見オーバーテクノロジーですが、そう見えないお話の妙を感じてください。
③バカな主人とデキる従者と思いきや……。葉月と小太郎の信頼関係がアツい
1話目の主人公は名門家の若き当主である小太郎と、小太郎に拾われたハイブリッド・チャイルドである葉月。小太郎は一見アホな当主で、しっかり者の葉月がそれを支えている状態。
けれど、実は旧式のハイブリッド・チャイルドである葉月の身体はボロボロ。次第に動かなくなっていく葉月を直すために奔走することで、責任感を持ち成長していく小太郎の姿は、まさに葉月が望んだ堂々たる当主の姿でした。
正反対の性質を持った二人が支え合っていく関係性がアツいお話です。
④確かに愛されているはずなのに成長しない理由は?壱さまとゆずの愛の形に萌える
2話目の主人公であるゆずは、主人である瀬谷壱に愛されながら日々を過ごしている、少年姿のハイブリッド・チャイルド。けれど本来、ハイブリッド・チャイルドは主人の愛を受けて「成長」するはず……。いつまでも少年のままの姿の自分に、ゆずは悩んでいました。
そんなある日、壱は突然、かつての戦争で恨みをかった男に切りつけられ、失明してしまいます。そこで初めて壱の本当に思いに触れ、そして、自分の気持ちを伝えることができたゆず。
確かに愛されているはずなのに、どうしてゆずが成長しなかったのか? そのあまりにもやさしくて臆病な理由はぜひ、『Hybrid Child』を読んで確かめてみてください。
⑤すべての物語を繋ぐ黒田の、あまりにも強くて優しい一途さがせつなくて泣ける
3話目の主人公・黒田は、ハイブリッド・チャイルドたちの開発者。もともと様々な絡繰を開発していた黒田が、なぜハイブリッド・チャイルドを作ることにしたのでしょうか。
その理由は、黒田が手元に置いている一体のハイブリッド・チャイルドが初めて発した言葉から分かります。戦争が終わり、ようやく穏やかな世が訪れた中で、その言葉に涙する黒田。
彼が失ったもの、取り戻したかったものが分かったとき、この『Hybrid Child』という話の全体を包む、優しくせつない空気感の理由に気付けるはずです。
『hybrid child』が読める電子書籍サービスは?
Kindle
イーブックジャパン
ブックライブ
紀伊國屋書店
リーダーストア
まとめ:せつなく、優しい気持ちになりたいときに。知る人ぞ知るBLマンガの名作、『Hybrid Child』を読んで涙しよう
中村春菊さんの『Hybrid Child』は、ヒトとハイブリッド・チャイルドの間にあるさまざまな愛の形を描いた名作です。壊れていくハイブリッド・チャイルドとの間に生まれる信頼や、本当に「愛する」とはどういうことなのか?が描かれています。
エッチなシーンは少しだけ。お話は最初から最後まで本当におだやかで優しく、そしてせつない雰囲気に満ちています。時代物特有の価値観や境遇にSFを絡め、より強く、その愛のあり方を描いた作品です。
しっとりした、優しくせつないボーイズラブに浸りたいとき、ぜひ『Hybrid Child』を読んでみてください!
