小説家でオメガの円と、警察官でアルファの吐木は”番”の関係。しかし、番になればオメガのフェロモンは番の相手以外に効かないはずが、番以外の人間にも効いてしまう特異体質。――のように振る舞っている円は、本当は……?
ミステリアスなストーリー展開から目が離せない、麻生ミツ晃さんによるオメガバースBL『リバース』をご紹介します。
『リバース』とは?ストーリーや作者
『リバース』は麻生ミツ晃さんによるBLコミックです。2020年3月に海王社 GUSH COMICSより刊行しました。
小説家でオメガの円と、警察官でアルファの吐木。二人は番の関係だが、円は特異体質らしく、番以外にもフェロモンが効いてしまうという症状を抱えていた。しかし、それは円がそう「振る舞っている」だけ。なぜ円はそんなふりをしているのか?
作者の麻生ミツ晃さんは多くのBLコミックを刊行している人気の作家さんです。人の目を惹く美麗な絵柄から、BL小説の表紙や挿絵も数多く手掛けています。美しい絵柄と骨太なストーリーが魅力です。
『リバース』の魅力
『リバース』の魅力は、まるで連続ドラマのような骨太なミステリで構築されたストーリーです。警察官である吐木は、オメガが殺害された事件の捜査を担当することに。遺体の奇妙な様子から、オメガの連続レイプ事件だと判明し……。
一方、小説家の円は現在、ゴーストライターや賞の下読みしかせず、自分の小説は執筆しない日々が続いていた。しかし、彼のパソコンの中にはパスワードが掛けられ、綴られた散文が。ストーリーの端々で公開されるその文が示す、円の「嘘」とは?
吐木が追う事件、そして円が必死に隠していること、それらが複雑に絡み合って一つの物語を形成しています。読み終わった後は連続ドラマを1クール見終わったような、そんな満足感が得られること間違いなしです。
私が『リバース』を読んだ感想5つ
私が『リバース』を読んでオススメしたいと思ったポイントを5つご紹介します。
①「オメガバース」の設定が緻密でリアル
『リバース』はBLコミックの中でも多く取り上げられるようになった「オメガバース」設定のお話です。しかし、この『リバース』で描かれるオメガバースの世界観の設定はとても緻密でリアル。
学校で習うバース性の知識は、個体数の少ないオメガを「貴重種」として、互いを理解しルールを守り、優しい社会を作りましょうというもの。しかし、吐木が新たに配属された所轄では、アルファである吐木のこともその番のオメガのことも「獣」と罵る上司が。
また、アルファ・ベータ・オメガの人口比を示すグラフの表示の仕方の変化が、現実にありそう……と思えるほどリアル。今は帯グラフになっているのに対し、30年はダイヤ型のグラフで、てっぺんにアルファ、下層にオメガを置いていたという描写はぞくっとしました。
そういった社会環境の設定まで緻密にされている、骨太なストーリーが好きな方にオススメです。
②警察官でアルファの吐木が追うのはある事件。展開にドキドキ
警察官の吐木が追うことになるのは、被害者がオメガの殺人事件。後ろ手に手足を拘束するような格好でラップフィルムが巻かれているという、奇妙な状態で発見されます。被害者がアルファ向け風俗の従業員だったこともあり、捜査には皆、非協力的。
しかし、オメガの連続レイプ事件が起こっていること、そして被害者は皆、ラップフィルムで拘束された状態だったことが判明します。そこから次第に、事件の全容が見え始め、吐木はバディである鷺沼と捜査にあたるのですが……。
犯人はオメガがうなじを守るためにつけるプロテクターを奪っていることが判明します。なぜ、オメガばかりを狙うのか。そして、プロテクターを奪うのか。罪を犯した「理由」が少しずつ見えてきて、手に汗握る展開が楽しめます。
③小説家でオメガの円。しかし、本当の円は……?
円は小説家で、吐木と番のオメガ。特異体質のため、番を得てもフェロモンが番の相手以外に効いてしまい、うなじの噛み跡の上にプロテクターをしています。番になればフェロモンが番以外に効かなくなるメリットが享受できず、抑制剤も効かないという困った体質。
……という風に円は振る舞っているだけで、実際の彼はまた違った体質の持ち主。彼がそう振る舞うことに決めたのは、他ならぬ吐木のためなのですが……。
二人は子供の頃から施設で育ち、部屋もずっと同室でした。物心付く前から施設で暮らしていた円と、両親が交通事故で死亡し、施設へやってきた吐木。ずっと二人で生きていくのだと何の疑いもなく思っていたのに、バース性が二人に亀裂を生むことになります。
④二人の過去から紐解かれていく、円の秘密
施設に来た頃の吐木は喋らないだけでなく、ご飯も自力で食べず、一歩も動こうとしない。そんな吐木に円は、施設に来たからにはもう自分ひとりを無条件に優しく世話してくれる大人はいないのだと突きつけます。そこでようやく初めて喋り、今の辛さを吐露した吐木。
それからずっと、吐木と円は一緒に育って行きます。誰もが吐木はアルファで、円はオメガだろうと疑っておらず、きっと運命の番だろうと言葉に出さないまでもお互い思っていた二人。そして高校で受けたバース検査の結果、吐木はアルファで、円は……。
その後、吐木が起こしたある事件をきっかけに、円の「嘘」が始まります。それもすべては、吐木を守るため。いや、もしかしたら、自分の心を守るためなのかもしれない……。せつない展開に注目です。
⑤ひやりとするような怒涛の展開!オメガ殺害事件の犯人は?
同一犯と思われる人物がかつて起こした未解決事件を発見した吐木と鷺沼は、それと紐付けて捜査を継続することに。そんな中、あるアルファ専門風俗の従業員から「たすけて」とメッセージが入る。
捜査が進展する中、吐木の携帯に連絡が入り、円が自宅から姿を消したという情報が。普段から施錠を徹底している円が、鍵を開けっ放しのまま外出するなんてありえない。一体誰が円を? そこで吐木は、これまでの捜査で見つけた情報から一つの答えを導き出す。
なぜ円は犯人に攫われたのか、そして、犯人に攫われた円を吐木は助ける事ができるのか。物語の終盤、円の嘘と吐木の追う事件が絶妙に絡み合って展開される怒涛の展開は、読んでいて手に汗握ること間違いなしです。
『リバース』が読める電子書籍サービスは?
Kindle
イーブックジャパン
ブックライブ
紀伊國屋書店
リーダーストア
まとめ:ずっと二人で生きていくためについた嘘。オメガバースBL『リバース』
『リバース』は小説家でオメガの円と、警察官でアルファの吐木のオメガバースBL。円は特異体質で吐木と番であるにも関わらず、他のアルファにもフェロモンが効いてしまうという特異体質なのですが、実はそれは嘘で……。
作者の麻生ミツ晃さんはBLコミックのほか、多くの小説の表紙や挿絵も手掛ける人気の作家さんです。美しい絵柄で、セックスシーンのそれぞれの体の様子や濡れる描写がとてもセクシーで、読んでいてドキドキすること間違いなし。
まるで連続ドラマのようなミステリと、本当にありそうなほどリアルなオメガバースの描写によって展開される骨太なストーリー。スリルと恋愛のドキドキをどちらも感じたい方はぜひ麻生ミツ晃さんの『リバース』を読んでみてください!
